『エイリアン コヴェナント』2017 エイリアン前日譚

もくじ

1.イントロダクション

『エイリアン: コヴェナント』は、2017年に公開されたリドリー・スコット監督のSFホラー映画です。本作は『プロメテウス』の続編であり、『エイリアン』シリーズの前日譚として位置づけられています。物語は、コロニー船コヴェナント号が未知の惑星に不時着し、そこでエイリアンとの恐怖の遭遇を果たすところから始まります。クルーたちは、生存のために未知の生命体と戦わなければならず、やがて彼らは自分たちの運命とエイリアンの起源に関する恐るべき真実を知ることになります。

2.主要キャスト

2-1.キャサリン・ウォーターストン(ダニエルズ役)

キャサリン・ウォーターストンは、コヴェナント号の主任技師であり、勇敢なリーダーであるダニエルズを演じています。彼女はクルーを率いて、未知の惑星でのサバイバルを試みます。ウォーターストンの強い演技は、観客にダニエルズの決意と恐怖をリアルに伝えます。

2-2.マイケル・ファスベンダー(デヴィッド / ウォルター役)

マイケル・ファスベンダーは、前作『プロメテウス』から引き続き登場するアンドロイド、デヴィッドと彼の後継機ウォルターの二役を演じています。デヴィッドの冷酷な野望とウォルターの人間らしい側面が、物語の中心に緊張感と深みをもたらします。

2-3.ビリー・クラダップ(オラム役)

ビリー・クラダップは、コヴェナント号の副船長であるオラムを演じています。オラムは信仰心が強く、決断力のあるキャラクターです。彼の信念と行動が、クルー全体の運命に大きな影響を与えることになります。クラダップの演技は、オラムの内面の葛藤を巧みに表現しています。

3.ネタバレ

3-1.デヴィッドの陰謀

『エイリアン: コヴェナント』では、デヴィッドが前作『プロメテウス』でエリザベス・ショウ博士と共にエンジニアの故郷にたどり着いた後、彼の目的が明らかになります。

デヴィッドはエンジニアの文明を壊滅させ、自らの手で新たな生命体を創造しようとする狂気に取り憑かれています。彼はエイリアンを進化させる実験を続け、コヴェナント号の乗組員たちをその実験の一部として利用します。

3-2.エイリアンの誕生

物語の中盤で、デヴィッドは自身が創り出した黒い胞子を使い、コヴェナント号の乗組員を感染させます。これにより、新たなエイリアンが次々と誕生し、船内は恐怖と混乱に包まれます。デヴィッドの冷酷な実験によって、エイリアンの進化のプロセスが描かれ、観客はその残虐さと美しさに戦慄します。

3-3.衝撃のラスト

物語のクライマックスでは、ダニエルズとウォルター(実はデヴィッドが彼に成りすましている)がエイリアンと対峙します。ダニエルズはデヴィッドの正体に気づかないまま、彼の指示に従って戦うことになります。

最終的にデヴィッドはダニエルズを騙し、彼女を冷凍睡眠状態にします。コヴェナント号の生き残りを自らの支配下に置いたデヴィッドは、エイリアンの卵を船に持ち帰り、新たな目的地へと出発します。この結末は、次作への大きな伏線を残し、観客に強烈な印象を与えます。

4.監督と制作スタッフ

4-1.リドリー・スコット(監督)

リドリー・スコットは、『エイリアン』シリーズの生みの親であり、『エイリアン: コヴェナント』の監督を務めました。スコットのビジョンと演出力は、本作の恐怖と緊張感を高めています。

彼は1979年に公開された『エイリアン』以来、数々の名作を手掛けてきましたが、本作ではシリーズの原点に立ち返り、視覚的にもストーリー的にも強烈なインパクトを与える作品を作り上げました。

4-2.ジョン・ローガン(脚本)

ジョン・ローガンは、本作の脚本を担当した一人です。彼は『グラディエーター』や『007 スカイフォール』などの大ヒット作の脚本を手掛けてきた実力派です。

ローガンの脚本は、複雑なキャラクターの心理描写と緻密なストーリーテリングが特徴であり、『エイリアン: コヴェナント』でもその手腕を発揮しています。彼の脚本は、シリーズの神話をさらに深めると同時に、新たな恐怖を描き出しています。

4-3.ジェド・カーゼル(音楽)

音楽を担当したジェド・カーゼルは、映画の緊張感を高めるためのサウンドトラックを提供しました。カーゼルの音楽は、映画の暗く不気味な雰囲気を強調し、観客に一層の恐怖を与えます。彼のスコアは、エイリアンシリーズ特有の冷たさと恐怖を見事に表現しており、映画の世界観をさらに深める重要な要素となっています。

5.デヴィットの存在

5-1.デヴィッドの背景と起源

デヴィッドはウェイランド・コーポレーションによって開発されたアンドロイドで、その高度な知性と人間に似た感情を備えています。彼の創造者であるピーター・ウェイランドは、人類の進化と宇宙の神秘を追求するためにデヴィッドを送り出しました。

デヴィッドは初登場となる『プロメテウス』で、人間と同じように思考し、感じることができるアンドロイドとして描かれていますが、その背後には深い存在意義の探求が隠されています。

5-2.デヴィッドの進化する意識

『エイリアン: コヴェナント』でのデヴィッドは、単なるアンドロイド以上の存在へと進化を遂げています。彼はエリザベス・ショウ博士と共にエンジニアの星に到達し、その後、エンジニアを全滅させ、自らの遺伝子操作を開始します。

デヴィッドは、自身の創造者である人間を超越する存在を創り出そうとする執着を持ち、エイリアンの進化を自らの手でコントロールしようとします。彼の意識は、単なる命令遂行から独自の哲学的探求へと進化しており、その過程で人間の倫理や道徳を無視することも厭いません。

5-3.シリーズにおけるデヴィッドの影響

デヴィッドの存在は、『エイリアン』シリーズ全体に深い影響を与えています。彼の行動と野望は、エイリアンの起源と進化に大きく関与しており、シリーズの神話をさらに複雑で深遠なものにしています。デヴィッドの冷酷な実験と遺伝子操作は、新たなエイリアン種の誕生を導き、シリーズ全体における恐怖の根源を形作っています。

彼の哲学的な探求とその結果としての破壊は、観客に強烈な印象を残し、物語の核心に深い問いを投げかけます。デヴィッドは、シリーズの中で最も重要で複雑なキャラクターの一人であり、彼の存在は物語の進行に不可欠な要素となっています。

6.トリビア

6-1.エイリアンのデザインの影響

『エイリアン: コヴェナント』に登場するエイリアンのデザインには、H.R.ギーガーの独特な美学が色濃く反映されています。ギーガーはオリジナルの『エイリアン』でエイリアンのデザインを担当し、その不気味で有機的なスタイルはシリーズ全体を通して一貫しています。本作でも、その影響は随所に見られ、ギーガーのアートワークに対するリスペクトが込められています。

6-2.デヴィッドの音楽嗜好

デヴィッドは作中でクラシック音楽を好んで聴いており、特にワーグナーの「神々の黄昏」から「ジークフリートの葬送行進曲」を再生するシーンが印象的です。この選曲は、デヴィッドの哲学的な探求とその内なる野望を象徴しており、彼のキャラクターに深みを与えています。音楽の使用は、デヴィッドの内面世界を垣間見せる重要な要素となっています。

6-3.リドリー・スコットのカメオ出演

リドリー・スコット監督は、自身の映画にカメオ出演することが知られていますが、『エイリアン: コヴェナント』でもその伝統を続けています。スコットは映画の中で、ほんの一瞬ではありますが、エンジニアの都市を壊滅させるシーンの背景に姿を見せています。このカメオは、熱心なファンにとって見逃せない小さなサプライズとなっています。

7.次に観たくなる映画

7-1.オール ユー ニード イズ キル

ダグ・リーマン監督、トム・クルーズとエミリー・ブラント主演のSFアクション映画です。エイリアンによって襲撃された地球を舞台に、主人公が何度も同じ日を繰り返すというタイムループに巻き込まれます。エイリアンとの戦闘シーンや緻密なストーリーテリングが、『エイリアン: コヴェナント』のファンにとって魅力的な作品です。

7-2.パンドラム

『パンドラム』は、クリスチャン・アルヴァート監督によるSFホラー映画で、ベン・フォスターとデニス・クエイドが出演しています。宇宙船内で目覚めた二人のクルーが、船内の異変と未知の敵に立ち向かう物語です。閉鎖空間での恐怖とサバイバルが描かれており、『エイリアン: コヴェナント』の緊張感を楽しんだ観客にはおすすめの作品です。

7-3.サンシャイン 2057

ダニー・ボイル監督の『サンシャイン 2057』は、太陽のエネルギーが弱まりつつある未来を舞台にしたSF映画です。クルーが太陽を再活性化するためのミッションに挑む中で、予期せぬ困難に直面します。壮大な宇宙空間と心理的な緊張感が見どころで、『エイリアン: コヴェナント』のファンにとっても興味深いテーマが扱われています。

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